リーダーの作法 (Lopp, (2022)) の脚注に面白い考えが書かれてました。この書籍の中で「キャリアラダー」という言葉ではなく「キャリアパス」という言葉を使っている理由です。以下に引用します。
ここで「ラダー(はしご)」という言葉を使いたがる人もいますが、私は「パス(道)」という言葉が好きです。はしごは、上に向かって登らなければなりませんが、パスは旅です。 (Lopp (2022), リーダーの作法, p.133)
自分も筆者の意見に近いです。キャリアを「はしご」と捉える場合、多くの人は組織図でのヒエラルキーの上に行くことをイメージするものと思います。もちろん、組織の統制上、権力関係は必要でしょう。その一方で、プロフェッショナルのキャリアは、この組織図上のヒエラルキーとは切り離して考えるべき、とする立場です。
例えば、テックリードというロールを考えても、「エンジニアの階層におけるランクのひとつではなく、シニアのレベルに達したエンジニアが担うことのできる職責郡である」(Fournier (2018)) と考えています。あくまでロールであって権力ではないと捉えている、という意味です。テックリードの場合は、スキル、知識、リーダーシップでチームをリードするべきで、権力を使って何かを成し遂げるロールではないというのが自分の考えです。
また、エンジニアリングマネージャー、テックリード、インディビジュアルコントリビューターのどのロールを選んでも正解であるし1、キャリアの途中でロールをチェンジすることも正解であると考えているのですが、キャリアを「はしご」と捉えた場合、この考えが成立しなくなってしまうと思うのです。
キャリアを「パス」として捉えれば、どこへ歩いていくのも当人次第である、と愚考する次第です。
選べる場合は。 ↩︎