okuzawatsの日記

モバイルアプリケーション開発の沼💀

ツールとしてのカンバン、思想としてのカンバン

書いている人

モバイルアプリケーションアーキテクトとして働いています。モバイルアプリケーションのアーキテクチャ、自動テスト、CI/CDに興味があります。


ツールとしてのカンバン

ツールとしてのカンバンとは、チケットの進行状態を可視化できるツールのことです。「カンバンボード」と呼ぶこともあります。TODO、In Progress、Doneといった進行状態別にカラムを持ち、左から右へとチケットを移動していくものです。

具体的な実装として、WebサービスのJiraやasanaがあります。GitHubのプロジェクトでもカンバンボードを使えますし、Obsidianのプラグインでもカンバンボードの機能を提供しているものがあります。JavaScriptのライブラリも存在します。カンバンボードは世にありふれています。

気の利いたカンバンボードであれば、チケットの変更を追跡し、分析の基盤を提供してくれます。

思想としてのカンバン

思想としてのカンバンは、トヨタ生産方式に端を発し、制約条件の理論やリーンソフトウェア開発の考えを取り入れた、プロセス改善のためのプロセス(メタプロセス)です。特徴的な語彙として、見える化、リードタイム、ボトルネック、WIP制限などがあります。

思想としてのカンバンは、見える化のためのツールとして「ツールとしてのカンバン」(カンバンボード)を使います。しかし、カンバンボードを使っているだけでは、思想としてのカンバンを実践しているとは言えません。チームの活動を見える化し、リードタイムを計測し、ボトルネックを特定し、WIP制限をプロセス改善の議論のきっかけとする…ということを繰り返すことで、プロセスを改善するというのが思想としてのカンバンの実践でしょう。

References

  1. Marcus Hammerberg, Joakim Sundén, (2016), 「カンバン仕事術 チームではじめる見える化と改善」, オライリー・ジャパン
  2. Eric Brechner, (2016), 「カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント」, 日経BP
  3. David J.Anderson, (2014), 「カンバン ソフトウェア開発の変革」, リックテレコム
  4. Henrik Kniberg, (2013), 「リーン開発の現場 看板による大規模プロジェクトの運営」, オーム社