Kotlinでnullオブジェクトパターンを実装する例です。こんな感じのinterfaceを考えます。
interface AwesomeRunnable {
fun runSomething()
}
nullオブジェクトパターンを使わない場合は、こんな感じのifチェックを呼び出し側で毎回書かないといけません。対象の変数がnullなのかどうかということに興味がある場合は毎回nullチェックをするのもやぶさかではありません。
fun main() {
val awesomeRunnable: AwesomeRunnable? = null
if (awesomeRunnable != null) {
awesomeRunnable.runSomething()
}
}
対象の変数がnullなのかどうかということに興味がない場合もあります。こういう場合はnullオブジェクトパターンの使用に一考の価値があります。
以下のコードは「何かを行う」関数を呼び出しています。
fun main() {
val doSomethingRunnable: AwesomeRunnable = object : AwesomeRunnable {
override fun runSomething() {
println("do something")
}
}
doSomethingRunnable.runSomething()
}
これに対して、以下のコードはnullオブジェクトパターンを用いた「何もしない」関数を呼び出しています。この場合は、インスタンスに対して runSomething
関数を呼び出しても、実際には何の処理も行われません12。
fun main(args: Array<String>) {
val doNothingRunnable: AwesomeRunnable = object : AwesomeRunnable {
override fun runSomething() {
// NOP
}
}
doNothingRunnable.runSomething()
}
nullオブジェクトパターンを用いたことで、「何かを行う」場合も「何もしない」場合も、処理を呼び出す側ではnullチェックが不要となっています。このように、オブジェクトがnullかどうかということには関心を持ちたくないが、実際には処理を呼び出した時に何もしないで欲しいことがある、という場合にnullオブジェクトパターンが使えることがあります。
上記の例ではオブジェクト式を用いた無名クラスでnullオブジェクトを作成していますが、以下のようにnullオブジェクトをひとつだけ定義しておけば、コードの重複を防ぐことができます3。
object NullRunnable : AwesomeRunnable {
override fun runSomething() {
// NOP
}
}