「スクラムの拡張による組織づくり」 (粕谷 (2023)) には、以下の脚注があります。
アメリカのピザのサイズは大きいので日本人の感覚だとあと1枚ピザを増やしても良いかもしれません。(粕谷 (2023), p.27)
アメリカのピザのサイズ感がわからないと、日本ではピザを何枚にすれば良いのかわかりません。そこで、本記事ではアメリカと日本のピザのサイズ感を踏まえて、日本にピザ2枚ルールを適用する場合のピザの枚数を提案したいと思います。
さて、適切なリンクを貼ることができないのですが、アメリカにおけるドミノピザの大きさについてGoogle検索した結果を以下に総合します。州にもよるようですが、おおよそ以下のサイズ感(直径)のようです。
一方、日本のドミノピザのサイズ(直径)は以下です。
アメリカはMedium、日本はMを標準的なサイズと見做し、それぞれのピザの面積を比較します(ピザ1枚あたりのカロリーは面積に比例するため)。
| 項目 | アメリカ (Domino’s Medium) | 日本 (ドミノ M) |
|---|---|---|
| 直径 | 30.48 cm | 27 cm |
| 面積 | 729.66 cm² | 572.56 cm² |
確かに、アメリカのピザは日本のピザと比較して27%ほど大きそうです。
一方で、チーム1人あたりのピザの消費量はどうでしょうか。ピザの大きさが大きくとも、1人あたりの消費量がそれと比較して大きいのであれば、ピザ2枚チームの人数は少なくなるでしょう。なんとなく、アメリカ人は日本人よりもたくさん食べそうな気がします。
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の調査によると、アメリカ・日本における20歳以上の平均摂取カロリーは以下のとおりです。予想通り、アメリカの人は日本の人よりもたくさん食べてそうです。
単純にこれを3で割って(1日は3食なので)、1食あたりの摂取カロリーをそれぞれ678 kcal、631 kcalとします。さらに、日本のドミノピザの「アメリカン」(ピザの種類の名前)のMサイズの1ピースあたりのカロリーが148 kcalであること、Mサイズ1枚は8ピースであることから日本のピザ1枚のカロリーを1,184 kcalとします。さらに、アメリカのピザ1枚のカロリーをピザの面積で比例計算して1,508 kcalとします。
これらから、アメリカと日本におけるピザ2枚ルールの人数が算出できます。
| 項目 | アメリカ | 日本 |
|---|---|---|
| 1人当りピザ摂取量 | 678 kcal | 631 kcal |
| ピザ2枚分のカロリー | 3,016 kcal | 2,368 kcal |
| ピザ2枚チームの人数 | 4.4 人 | 3.8人 |
日本でピザ2枚ルールを適用した場合、摂取カロリーの違いを割り引いたとしてもアメリカよりもチームサイズが小さくなってしまいます。このことは、粕谷 (2023)の「アメリカのピザは大きいため、日本人の場合はピザを増やすべき」という主張を裏付けるものです。
ただし、単にピザを1枚足してピザ3枚ルールとした場合は、ジェフ・ベゾスの意図した人数よりも多くの人数(5.7人)となってしまい、チームのコミュニケーションコストが増えてしまいます。アメリカの4.4人に相当するピザの枚数を比例計算すると、約2.3枚になります。従って、ピザ2枚ルールを日本人に適用する場合は摂取カロリーの違いを割り引き、ピザを2.3枚とすることが好ましいと言えます。
本記事では、ピザ2枚ルールを日本に適用する場合は、「ピザ2.3枚ルール」とすることを推奨します。