【書評】起業はGO IT ALONE!最小投資・最小人員で大きく成功する方法

わたくしが会社を作る際に参考にした書籍の一つ、「起業はGO IT ALONE!最小投資・最小人員で大きく成功する方法」の感想文を書いておきます。この本の内容を一言でまとめると、「クラウドを活用して、大規模な資金調達を行わずに、ひとりまたは少人数で起業して成功するための本」です。

本書の筆者はブルース・ジャドソン氏。略歴によれば、イェール大学経営大学院専任研究員、マーケティングと起業の専門家、複数のビジネスを創業して成功、というような経歴の方のようです。「技術が仕事場をどのように変えたか」の専門家とも書かれています(参考:Bruce Judson – Business Insider)。

また、翻訳の監修は細谷功氏。(少なくとも本書が出た当時は)NTTデータが100%出資している経営コンサルティング会社クニエの偉い方だったようです。アーンスト&ヤングの流れを組むコンサルティングファームです。

細谷氏は、著書「地頭力を鍛える」が有名ですね。

GO-IT-ALONE起業とは

まず、本書の題名にあります「GO IT ALONE」起業とは何でしょうか。少し長くなってしまますが、本書から引用してみます。

まったく新しいタイプの起業家集団が登場してきている。「GO-IT-ALONE起業家(go-it-alone entrepreneur)」である。この起業家たちが展開する事業は、次の三つの定義に当てはまる。

  • 最小限の投資で事業を始めている。創業者は会社を100%所有し、経営を完全に掌握している。
  • 一〜六人ほどの少人数で会社が運営されている。
  • 創業者は小規模な事業を始めようとはしていない。事業収益を無限に拡大する前提で働いている。

創業者は「GO-IT-ALONEビジネス」の会社を、被雇用者の数が少ないことを除けば、小さな会社とは考えていない。相当な収益を生み、実業界で大きな役割を果たす会社を作るつもりなのだ。

(出典:ブルース・ジャドソン、起業はGO IT ALONE、p.35)

Go It Alone起業(以下、ひとり起業と呼びます)というのは、フリーランスで働くこととは大きく異なります。

フリーランスは自分自身が事業そのものであるのに対し、ひとり起業家は事業を所有している人を指します。言い換えると、フリーランスはお金を稼ぐために働くのに対して、ひとり起業家は事業を築くために働く、つまり自動でお金を稼いでくれる「ビジネスシステム」を作り上げるということです。

これは、フリーランスと起業家のどちらが良いという話ではなく、単に働き方の違いを表しています。

そして、ひとりまたは少人数、そして大きな資本がなくても、無限に成長することが可能な企業を築くことは可能である、というのが本書の主張です。

GO IT ALONE起業家は何をする人なのか

ひとり起業家は事業を築くために働く」と書きました。では、具体的にひとり起業家はどのように働くのでしょうか。わたくしなりに要点をまとめると、以下のようになります。

事業アイデアを選ぶ。

まずひとつは、「事業アイデアを選ぶ」ことです。これは、単純に儲かりそうな事業を選ぶだけのことではありません。事業アイデアが起業家のコアコンピタンスと合致しているものでなければならない、と本書では述べられています。

第一に、あなたは、一匹狼の起業家として、人に頼らず独力で優れた実績を上げなければならない。もしあなたが参入することにした分野で生来の才能に恵まれていたら、この目標を達成する可能性ははるかに高まるだろう。

第二に、わたしたちは好きなことは楽しんでやるのがふつうだから、コアコンピタンスのある分野で仕事をすれば、新しい事業を成功へとさらに押し進めるエネルギーと情熱が生み出される可能性も高くなる。
(出典:前掲書pp.150-151)

コアコンピタンスという概念は、ゲイリー・ハメルとC.K.プラハラードが提唱した概念です。元々の定義は以下のようになってます(英語版wikipediaからの孫引きです…)。一応、括弧内に拙訳を書いておきます。

  1. Provides potential access to a wide variety of markets.(幅広い市場にアクセスできること)
  2. Should make a significant contribution to the perceived customer benefits of the end product.(最終製品の顧客に対して大きな便益を提供できること)
  3. Difficult to imitate by competitors.(競合他社に容易に模倣されないこと)

基本的には、この定義を企業から個人(または小規模な集団)に読み替えればいいわけですね。

ビジネスシステムを創造する。

ひとり起業家のコアコンピタンスを活かすことのできる事業アイデアを選んだら、次にやるのは、それをビジネスシステムにまで築き上げることです。ここで重要となるのは、「極限までのアウトソーシング」と「反復可能なビジネスシステム」という概念です。

極限までのアウトソーシング」は、とても簡単な考え方です。これは、コアコンピタンスに関わらない作業については極力アウトソーシングをはかる、アウトソーシングできる規模にない作業についても始めからアウトソーシングすることを計画に入れておく、ということです。

事業活動を最小限度に絞り込むことによって、事業活動の焦点が「レーザービームのように」集中され、大きな力を生みます。これは、起業家の集中力を雑用で消耗しないということでもありますし、コアコンピタンスに関わらない活動に時間を無駄に費やさないということでもあります。

現在、アプリケーションサービスプロバイダー(ASP)と呼ばれるアプリケーションの機能をネットワーク経由で提供する事業者が多数存在します。このような事業者を活用することによって、ほとんど全ての事業活動はアウトソーシングすることが可能です。それも、一昔前と比べて非常に安価に利用できます。

このようなアウトソーシング先を有効に活用することで、起業家の集中力と時間を雑用から守り、事業活動をコアコンピタンスに集中することが可能となるのです。

ただし、ここで難しいのは、コアコンピタンスをはっきりさせておかなければ何をアウトソーシングすべきかもわからないということです。事業を「最小限の高レバレッジプロセスに絞り込み(出典:前掲書p203)」、それから「ほかのものはすべてアウトソーシングする(同上)」ことです。

次に「反復可能なビジネスシステム」を構築できれば、それを前述の「極限までのアウトソーシング」と組み合わさることで、事業に大きなレバレッジを働かせることが可能です。

ここで「反復可能なビジネスシステム」とは、「事業展開を明確に定める手順やシステムを作り出す能力(前掲書p.43)」を表します。事業が定型化されれば、起業家自身の限界に縛られることなく、事業を大きく拡大することも可能となります。

このように、起業家のコアコンピタンスを要石として事業にレバレッジを働かせることのできるビジネスシステムを構築できれば、ひとり起業であろうと無限に成長することが(理論上は)可能となるわけですね。そして、現在提供されている様々なサービスを利用することで、それが可能となっているというのが筆者の主張です。

まとめ

本書では、このような内容を中心にして、ひとり起業家が事業を構築する上で参考になる内容が具体例とともに書かれています。ひとり起業家だけでなく、一般のビジネスパーソンにも役立つ内容だと思いますので、ご一読いただけると良いかもしれません。

なお、こういったビジネスシステムの構築については、ティモシー・フェリスの「週4時間だけ働く」により具体的な情報がありますので、こちらも合わせて読むと良いかと思います。

こちらからは以上です。

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