茨城県つくば市でモバイルアプリ(iPhone、Android)のプログラミングをする日記です。あとWordPress、Raspberry Pi、Arduinoなど。

モバイルアプリ開発@つくば

王様達のヴァイキング、1巻〜3巻まで読んだ感想

投稿日:2015年5月23日 更新日:

こんばんは、okuzawatsです。

ビッグコミックスピリッツで連載中の「王様達のヴァイキング」を読んだ感想を書きます。
天才的なハッカーとそれに投資するエンジェル投資家の話です。
プログラムをテーマに取り上げたマンガは珍しいし、それにエンジェル投資家を組み合わせたのも良いですね。

注:エンジェル投資家とは、個人的に創業期のベンチャー企業に資金を提供する人を指します。

テーマが物珍しいだけでなく、疾走感と緊張感があふれる素晴らしいマンガでした。
今まで知らなかったのがもったいないです。
Wikipediaによれば、王様達のヴァイキングは、「第18回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品」「マンガ大賞2015 第9位」になっているマンガとのこと。

王様達のヴァイキング、1巻を読んだ感想

王様達のヴァイキングの第1巻のあらすじはこんな感じです。

  • 天才ハッカー・是枝一希が金融機関を次々とハッキングしているのことを、エンジェル投資家・坂井大輔の投資先のチームが突き止める。
    坂井が是枝を説得して自分のチームに加える。
  • 社会にあんまり適合できていない感じの是枝に、坂井はテキ屋みたいな商売をさせることにする。
    「自分が何をしたいのか」良くわかっていない是枝に、自分の欲望を気付かせるため。是枝は、友人の実家がやっている工場の製品「雷おこし」を売ることにするも、あんまり上手くいかない。
    (注:是枝は浅草の近くにある廃業したレンタルビデオ店に住んでいました)

是枝に必要なのは、自分を知ることだ。
好きなものを自分の手で売れば、数式では測れない自分の欲望を掴めるはずなんだ。

(中略)

その宝を探し当てられるかどうか。
あいつの人生の価値は、あいつ自身が決めるんだよ。

そんなさなか、坂井の投資先のひとつであるゲーム開発会社がクラッキングにあっていたので、是枝が助っ人に駆り出される。
クラッキングを仕掛けてきたグループを逆にクラッキングすることに成功。
報酬をもらう。

始めての仕事を成功させたことで、是枝は自分が何をすれば良いのか?
なんとなくわかってくる。

プログラミングや投資をテーマにしているマンガは前々から探していたんですが、不覚にも今までこのマンガのことを知りませんでした。
評価が高いマンガなのもうなずけるクオリティーで、1巻から6巻まで次々に読み進めてしまいました。

主人公はハッカーの是枝とエンジェル投資家の坂井ですが、テーマとしてはエンジェル投資よりもハッカーの方が中心です。
是枝のPCは名機と言われたIBM製ThinkPad X41で、これにUbuntuを入れて使っているなど、ディテールも凝ってて面白いです。

第1巻では、ハッキング(クラッキング)の能力だけが異常に高く、人間としてまるで成熟していない是枝に周囲が振り回される様子が描かれています。
振り回される中でも、その天才的なハッキング能力を周囲は認めざるを得ません。

しかしながら、その天才的なハッキング能力をどうやって活かしたら良いのかがわからない是枝は、クラッキングに自分の才能を使ってしまいます。
坂井はそれを良しとせず、自分を知り、世界を知るよう、是枝を導いていきます。
そして、是枝もそれにこたえようとしています。

そういう成長潭として「王様達のヴァイキング」を読むのも面白いですが、やはりハッキングマンガとして読むのが面白いでしょう。
わたくしは影響を受けやすいので、早速ThinkPad X41にUbuntuをのせて使ってみたくなっていますし、プログラミングのやる気も増しています。
ハッカーでも、ましてやクラッカーでもないわたくしですが、やっぱりハッカーってかっこいいなと、思ってしまうわけです。

地味にターミナルを叩いたりエディタでプログラムを編集したりといった、地味なプログラミング作業をこれだけエキサイティングに描いているのは凄いと思いますし、実際にこれが面白いのです。
プログラミングが好きな人とか、ハッカーに憧れている人は読むとすごく楽しいと思います。

王様達のヴァイキング、2巻を読んだ感想

坂井(エンジェル投資家)は、是枝(ハッカー)の数少ない友人である「ゴリラ君」に「これ以上、是枝にクラッキングをやらせないでください」と頼まれます。
是枝のクラッキング能力を誰よりも買っている坂井は、このように答えます。

今日初めて是枝は「機能」した。
サイバーテロの脅威が認識され始めた現在
必ず、技術は進化を求められる…
「守るだけじゃないサイバーセキュリティ」
守ると同時にむしろ攻める、これからの世界に必要となるサービスだと思わないか?

誰よりも是枝の才能を買っている坂井ですが、是枝を甘やかすことはしません。
次に何の仕事をしたら良いのか?
わからなくて坂井に聞きに行く是枝に対して、「自分で考えてから来い」「自分の船は自分で作れ」と厳しく言い放ちます。

もっとも、これは是枝が自立できるように優しさから言っているものであると、わたくしは愚考する次第です。

そんな中、是枝の数少ない友達であるゴリラ君がトラブルに巻き込まれ、3日以内にパスワードを解析する必要に迫られます。
ゴリラ君を助けるため、是枝はノートPCを持って博多へと向かいます。
はじめての飛行機で…。

なんやかんやあって是枝たちはパスワードの解析を完了し、そして是枝は
「自分の能力を活かして人を助けることで、自分と社会とがつながることができる」
ことに気付ます。
自分が何をできるのか、何をしたいのか、それがわかった是枝は、セキュリティのコンサルタント業を始めたいと坂井に打ち明けます。

是枝が一社目のクライアントの元へと向かったところで、連続的なサイバーテロが始まります。

王様達のヴァイキング第2巻において、是枝は、自分の才能を活かして人を助け、それによって自分の才能の活かし方を見いだします。
リクルート社の「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」みたいでかっこいいです。

是枝は、ハッキング(クラッキング)という自らのスキルをもって、社会とつながることができることに気付き、そして積極的に社会とつながろうとしていきます。
これは、これまでの是枝にはなかった態度です。
坂井と出会ってから、是枝は自ら変わろうとし、そして変わっていきます。

現実においても、ひとつの出会いがその後の人生を変えてしまうことは、稀に起こることです。
出会いは偶然のものですが、そのチャンスを活かして人生を変えられる(良い方向にも、悪い方向にも…)かどうかは、本人次第です。

是枝は、坂井と出会う前から自分を変えたいと思って、そして変えられずにいることにコンプレックスを感じていました。
そして坂井と出会い、少しずつ、そして時に突然、苦しみながらも、自分を変えて行きます。

王様達のヴァイキング、3巻を読んだ感想

王様達のヴァイキング第3巻では、エンジェル投資家の坂井がいかにしてエンジェル投資家になったのかが描かれています。

大学の卒業を控えた坂井は、就職氷河期の中「花形広告代理店」に内定をもらいます。
そんな中、何かの本を読んでコンピュータとインターネットに強い興味を持ちます。
読んでた本は、おそらくトフラーの「第三の波」です。

坂井のノートには、このように書かれています。

第一の波は農業の開始
第二の波は工業化社会の到来
第三の波は情報化社会の変革

これは、トフラーの「第三の波」の内容そのままですね。

本書の中でトフラーは、人類はこれまで大変革の波を二度経験してきており、第一の波は農業革命(18世紀の農業における変革でなく、人類が初めて農耕を開始した新石器革命に該当)、第二の波は産業革命と呼ばれるものであり、これから第三の波として情報革命による脱産業社会が押し寄せると唱えている。
(出典:第三の波 (トフラー) - Wikipedia

第三の波の理論に影響を受けた坂井は、広告代理店の内定を蹴って「情報通信系」の会社に入社し、「狩るべきもの」を探し始めます。
そして4年後、後に20億円で売却されることとなる、とあるウェブサービスの開発に着手します。

なんやかんやあって金に困った坂井は、ベンチャーキャピタルをまわってお金を集めようとしますが、てんで理解されず…。
たまたま会ったエンジェル投資家に救われます。

井野さん(注:エンジェル投資家)という理解者がいなきゃ、今の俺らはないだろ?
あの時、俺に経験があれば金の使い方を間違えて借金まみれになる必要もなかった。

(中略)

才能に溢れているのに不器用な奴らを俺は支えてやりたい。
まだ何ものでもない奴らを世の中に出してやりたい。

ということで、またなんやかんやあった後、会社を売却して得たお金を元手に坂井はエンジェル投資家になります。

トフラーの第三の波を読んだ坂井は広告代理店を蹴り、当時は良くわからなかった「情報通信系」の会社に入りました。
そこで数年感にわたって獲物を狩るための牙を研ぐわけです。

数年後、実際に坂井は「狩るべきもの」を見付けて、事業を開始します。
その事業も苦労の末にエグジットに成功するわけですね。

こう書いてしまうと簡単ですが、翻って考えてみると、広告代理店を蹴って海のものとも山のものともわからない業界の可能性を信じて飛び込むところが、まずスゴいです。
実際問題、この背水の陣的な決断があったから自分が興すべき事業を真剣に考え続けられたのでしょう。
予定のとおり広告代理店にいったら、きっと居心地が良くなってたと思うので…。

第三の波のような可能性が開けた時、実際にその流れに飛び込める人間とそうでない人間がいます。
一概にどちらの人間が良いとかいう話ではないですが(言葉だけのブームで終わってしまう概念も多いです…)、起業家になる人間は、リスクをとって飛び込める人間なのではないでしょうか。

それでまあ、リスクをとるからには大変なことが色々と降りかかってくるわけですが…。

そういう経験というのは、経験した人間にしかわからないことも多いように思います。
そういった経験を元に、起業家に助言をしたりお金を出したりしてくれる「起業家あがりのエンジェル」という坂井のような存在は、エンジェル投資家の投資先となる起業家にとって、本当にありがたいものなのではないでしょうか。

-読書感想文

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